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「じゃあ、早速ーー」 「私、奏多呼んでくるから!」 勇輝が言おうとした事を聞く気もなく、被せて言うと、真っ直ぐに出口へ向かった。 「あっ、待って!」 振り返ると、由梨が慌てた様子で追いかけて来ていた。 「車を止めた駐車場で、運転手さん待ってると思うから、ここまで車を持ってきて貰えるよう、呼んできてもらってもいいかな…?」 「うん、分かった!」 私が頷くと、由梨は嬉しそうに微笑み、私を見送ってくれた。 * 駐車場まで戻ると運転手さんが待っていた。 「すいません、勝手に行ってしまって…」 何も言わずに勝手にいなくなったのにもかかわらず、「大丈夫ですよ」と笑いかけてくれた。 道を教え、そちらに行くように頼み、一つ聞きたいことを思い出した。 「あ、そう言えば奏多来ませんでしたか?」 「いえ、まだ戻ってきてはいませんが…」 「分かりました、ありがとうございます」 短く頭を下げると来た方とは反対に軽く走りながら電話をかけた。 五回ほどのコール音が鳴り、切ろうかと思ったところでやっと出た。 「あ、奏多?今どこに居るの?」 『…』 「あれ?もしもし」 無言だったので間違えかと確認したが確かに奏多に電話をかけていた。 聞こえてきたのは、少しの雑音と小さな話し声だったが、なんと言っているかは聞き取れなかった。 電話の向こうに誰かがいる気配はする。 しばらくの沈黙の後に相手が話してきた。 『もしもし、この携帯の持ち主の知り合いの方ですかね?』 知らない男の声だった。 私は、なんと返答するか少し迷ったが、はい、と短く答えた。 『よかった、通りすがりにこの方が急に倒れ込んだので、どうしようかと考えていたのです』 「え!本当ですか?!ど、どういう状況なんですか!」 私は気が動転して、早口でまくしたてた。 『酷い熱があるみたいです。それで気絶してしまったようで…』 「そんな…直ぐに迎えに行きます」 場所を聞くと直ぐに電話を切り走った。 道を曲がると、道端に倒れている奏多と、顔を隠した大きな男性と、小さなメガネのおじさんが立っていた。 「はぁ、はぁ、奏多?!大丈夫?」 息を切らしながら二人に軽く会釈をして、奏多に近づくと、横にしゃがみ込んだ。頬が赤らんでいて、息も荒い。額に触れると、酷い熱があった。 「そんな…」
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