2・包まれる愛

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確かに龍王が必ずしも巫女と交わらなければならない。 という、決まりはない。 しかし人間界では、そうはいかない。 自分の子どもが龍王の巫女になる。 それだけでその親族は、かなりの地位と名誉が約束されるからだ。 その後龍の国で巫女たちに、どんな酷い扱いをされるのか。 人々は知らない。 龍はもともと情に薄い生き物。 あまり感情がなく、本能のまま行動する。 だからこそ、人間には何も興味を示さない。 龍の関心は、種の絶滅の回避という本能に任せた行動。 人間に望む物は血と豊かな感情、理性。 そして・・・未来を繋ぐ為の生命の誕生。 今の龍王には白龍という、絶対的な存在がある。 揺るがないその思いは私も良く分かっている。 龍王の求める相手は、ただ一人。 白龍に転生したスーだけだ。 人間らしい感情。 温もり、優しさ、愛情。 悲しみ、憎しみ、希望、未来。 その全てはスと共にある。
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