強くなりたい

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 外でランチを済ませると時間を潰そうと歩いていた時だ。亜美は会いたくない慎也が前から歩いてきていることに気が付いた。  向こうも気付いたようでその歩みが止まった。 「おい、あんた。おいって!! 止まれよな」  無視して歩いていたが、大きな声に亜美は歩みを止め振り返った。 「誰かと思えば二度も失礼なことをした人」 「相変わらず嫌な言い方すんな」 「本当のことでしょう? 」 「……沙織さん、元気にしてるか?」 「……は?」 「晴仁と上手くいっているんだから、元気なんだろうけどさ。あんな嫌なこと言った手前ちょっと気になって」 「上手くいってる? 聞いてないわけ? 友達か何か知らないけど、先生昨日彼にフラれたそうよ。婚約者と結婚するって」 「……嘘だろ?」 「嘘ついてどうすんのよ。良かったわね? あの子さぞ喜んでるでしょ?」  その言葉に慎也は思わず手を額に当てながら、何かを考えるように一点を見つめた。 「それ変だ。ついこの前結菜に結婚は出来ないって、晴仁のヤツそう言ったんだ。それで俺は結菜を慰めて……なのに結婚?」 「……それ本当?」 「ああ。それで結菜も仕方なく諦めたっていうか」 「それじゃあ、やっぱり先生の予想が正しいのかも」 「何だよ、予想って」 「この前接骨院に先生の彼氏の母親が来たのよ。そこで言われたんだって。別れなければ接骨院のよくない噂を流すって」
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