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本来の目的を伏せたまま彼女たちを帰そうと思ったが、シャンプーの材料を確保するという3人の意志は固く、しかもレムが「この3人なら信用できるし、人手は多い方が素材採取も楽になるわ」と言って本当の目的を打ち明けてしまったのだ。すると彼女たちはますます同行の意思を強くした。
「レムさんに何かあったら大変!」
「ついていくわよ!レイアスだけじゃ頼りにならないでしょ!」
「そんな危険な旅でしたら余計に見過ごせません!」
彼女たちの言い分は真っ当であるが、そこにはレムに何かあったらシャンプーが手に入らなくなるという理由もあるのだろうとレイアスは邪推している。
「みんな、綺麗で長い髪の持ち主だもの。仕方ないわ」
「女の人って髪のことでここまで真剣になるんですね……」
「髪は女の命だもの。覚えておかないといつか怖いことになるわよ」
「よく覚えておきます……」
レイアスは心に誓った。
その時、前方から接近する影に二人は気づいた。
「魔物ね」
「そろそろ現れる頃だと思ってました」
「あれって魔物だよね、レイアス?」
イリスたちも気づき始めた。
「さくっと処分しちゃうわよ!」
「私もお力になります!」
「いや、ソフィさんとリーゼは待機しててください!」
レイアスは少し慌てた。
二人が戦闘に参加すると尾行者がいよいよ怖気づいて何もしてこない可能性が高いからだ。ソフィもリーゼも有名ではあるが、その戦闘を直に見ていなければ能力を過小評価してくれる可能性がある。二人の実力を尾行者に見せるわけにはいかなかった。
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