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エピローグ
「あ~……いったぁ……」
一つの大木の枝の上で、一人の女性が背中を預けて座っている。
その腹部からは多少なりとも出血――だが、先ほどよりも血の流れは止まりつつある。
「ほんと、乙女のお腹に傷付けるってどういう神経してんのかしら。次会ったら絶対に復讐してやるわ」
彼女は空を見上げながら、次のことを考える。
「――次こそ、友達沢山出来るかなぁ」
魔族であり、人間の敵である彼女だが。
その考えは異端であり――誰にも共感してもらえない。
それは異種族である『自分』が敵である『人間』に好意を抱いており。
それは純粋に、“仲良くなりたい”だけだったのだ。
そも、群れの中には必ずと言っても良い程、思考が全く違う個がいる。
……彼女はそれだった。
ただ少し……不器用なだけで。
しかし――彼女は諦めない。
例え姿かたちが人間でなくとも、同族から仲間外れにされても。
彼女はきっと……その願いを、近いうちに叶えることだろう。
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