プロローグ

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プロローグ

 ――さて、今更ながらではあるが。  ここで一度“初心”に返ってみよう。  この世界――『魔族』と呼ばれる存在が復活して、世界は一気に悪い方へ進んだ。  人間は恐れながら――しかし、黙ってやられるような馬鹿ではなく。  数々の勇士、幾多の英雄が『魔族』に対峙し、数えきれないほど退治してきた――だが。  果たして――それで本当に『良い方向に進んでいる』と思うだろうか?  勇士や英雄が『魔族』と戦う――それは良いだろう。  何故ならば、それが使命なのだから。天命なのだから。むしろ願ってもいないことだ。  だが――それを“勘違い”してはいないか?  自分達の経験値は上がり、弱い『魔族』であれば、ほぼ完勝できるようになった――が。  それは、ただの“思い上がり”であり。  逆に、こう考えられないだろうか? 『自分達が戦ってきた敵は、魔族の中でも弱い魔族だった』――と。 『自分達が戦ってきた敵は、自分達を遊んでいただけだった』――と。  更に……こうも考えられる。 『魔族は人間を殺す以外の目的を持っている』――と。
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