Act.4 君に捧げるこの気持ち

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   その後澄友は、早織のために山あいにある別荘を購入するとそこに移住し、医者の助言を受けながら、夫婦水入らずの生活を始めた。  …その間も、有理は忙しない刻を過ごした。  澄友に代わって千里たちにお礼の挨拶回りに始まり、取り敢えず一人暮らしを続けることになったパートの更新やら塾講師の仕事やらと、慌ただしい日常を送り続けた。  ───そうして、季節がひとつ、巡る頃…  秋も深まり、木枯らしが吹きつけ冬の気配をその風に感じ始めた、ある日。  画廊のテラスに一人佇み、見るとはなく外の景色と向かい合っていた遥へ、届いた手紙を受け取った千里がそっと手渡した。 .
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