Act.4 君に捧げるこの気持ち

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   それが、やっと。  思いもかけないかたちで廻り合い、そして、事のあらましを聞くことができた有理は、やっとほっとした息を継ぐことができた。 「早織は、時にその愛情を疎ましく思っていた私を知っても、変わらず愛してくれるだろうか。 一心に私を愛してくれるその証として産まれてきてくれたお前たちを、想いの丈の分だけ愛することができるだろうか…そんな私の迷いが現実から目を逸らさせ、弱さに乗じて逃げてしまった」  分かるよ、その気持ち、と、長いことずっと家を空け、苦労ばかりさせられてきた気持ちから積もった恨み言とは別の感情が胸に湧き上がり、そう言って、肩を落としている澄友を慰めたくなる。  家族を残して消えてしまった澄友の行いを許す、許さないではなく。  澄友の想いを受け入れられた有理は、長い旅路の終わりを迎えようとしているその心に触れて、労りの境地に至っていた。 「だが…こうして成長した有理と向き合うことで、私の心は決まった。 もう逃げるのは止めにして、私が在るべき所へ戻ろうと思う。 そんな私を、お前たちは受け入れてくれるかい?」 「も、勿論!」  有理に許しを乞うのではなく。  飽くまでも今ある現実と対峙するために必要な事柄を確認した澄友の言葉に大きく頷き返すと、澄友はソファーからゆっくりと立ち上がった。 .
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