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その澄友に倣い、立ち上がった有理を見た澄友は目を細めて笑むと、
「大きくなったな…」
と、感慨の籠った呟きを零す。
そして大きなため息をつくと、
「お前と遥が出会ってくれて、本当に良かった」
と、上手く息継ぎができるようになってから、有理の脳裏にちらつき続けていたその人の名を聞いた胸に、暖かな明かりが灯った。
(本当に、そうだ)
遥に出会わなければ、きっと澄友に辿り着くことができなかった。
遥と向き合わなければ…きっと、澄友を受け入れられないままだっただろう。
そう思うだけで愛しさが募る。
愛しいと思う気持ちだけで…
全ての人を愛し、許すことができる気がした。
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