Act.4 君に捧げるこの気持ち

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   遥のおかげで、また『父さん』と呼べるようになった父に聞かされたが言葉がある。  初恋は叶わないものだと決まっている。  オレは、その言葉を信じたくない。  何故なら、遥、オレにとって君がそうだからだよ。  今まで生きてきた24年間、それらしいことも、また、告白されたりもしてきたし、友人や同級生の話を聞くうちに、男女間で成立する関係性が恋愛なんだと思って生きてきた。  だから、正直に書くけど、君に始めて好きだと言われた時は本気で笑えない冗談だと思っていたし、気色が悪いとも思っていたんだ。 本当にごめん。  長年培われてきた概念が覆るはずもないって思っていたから、遥にキスされても好きだと言われても困るだけで、君と想いが重なる日が来るなんて、信じてなかった。  なのに。 そう、だったのに。  オレの考えは、遥の魅力にやられて、あっと思う間に、惹かれた。  一週間にも満たない短い時間で心を鷲掴まれて…遥を、好きになってた。  そして。 君を離したくない一心で、誠実さのないやり方で、君を手に入れようとしてしまった。  そんなことまでできてしまったくらい、オレは遥のことが好きになってた。  自分の中にあったモラルすら忘れて、君に溺れるように恋をした。  オレの全部が、君が好きだと想う気持ちで満ちている。  きっとそれは恋する誰もが等しく持っているものだろうけど、恋愛って、恋した人と想いを共有できなければ成り立たないものだよね。  だから今のオレは、遥に片想いをしてる。  伝えたい気持ちがいっぱいあるのに言えなくて、歯痒くなったり切なくなったり…遥が傍にいない間、ずっとそんな気持ちでいたよ。  遥は、どうかな。  もうオレのことなんて、忘れてしまった? .
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