オープニング

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  (こんな駅前にあって、人目につく所なんだから、子供がこぞって行く訳ないんだし)  大人が思うほど、子供はバカじゃない。  だから『賢しい子』ならばこんな人気の多い所なんか避けるだろうし、と思うと、行進すること自体、何かのパフォーマンスなのではないかと有理は思っていた。  …それに。 (そういうホテルに混じってある、ソープランドで働いてる女の人はみんな綺麗で優しい人ばかりだっていうし)  そんな独り言をブツブツと零しながら、有理は駐輪場へと爪先を向ける。  そういうのを欲しがるのは大人なんだし、いい加減にするべきじゃないかな、と、尚も独り言を呟く有理の目に、ロータリーの植え込み脇に腰を下ろしてしゃがみ込む、軽装の、少年の背中が飛び込んでくる。 .
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