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「君、大丈夫っ?」
「!」
抱え込んだ膝に顔を伏せている少年に近づき、同じ目線の高さで跪いた有理が声をかけると、少年の肩がビクリと跳ねる。
そして少年は、細い腕の中に伏せていた顔をゆっくりと持ち上げ、瞬きを繰り返しながら有理の目を見た。
(…ッ!)
少年の瞳と目が合った瞬間、有理はドキッとする。
──その、あまりの美しさに飲まれた心を、鷲掴まれて。
煌めく瞳と視線が絡み合った、と思った瞬間、
「なんだ、ガキかよ」
と、その美しい容姿にはそぐわない悪態をハスキーボイスが紡ぐ様に驚き、有理はふいっと逸れて行く瞳を見送った。
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