真夏の夜の悪夢

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 身も蓋もない事を言いながら俺を指差しケラケラと笑う彼女に苦笑いを浮かべ、社会人というのは人間がこうも壊れてしまう物なのかと少し不安が募る。 「あの……舞さんはそんなに毎日が辛いんですか?」 「辛いわよ~悪くもないのに取引先にペコペコ頭下げてさ、上司にはセクハラまがいの飲み会やパワハラじみた残業に付き合わされて、気が付けば真夜中。プライベートなんてあったもんじゃないわよ……」  ため息をつき数秒押し黙った後、舞は急に手に持っていた酒を一気に飲み干す。  そして驚く俺の両肩を手で掴みながら目線を向けると 「でもね。そこで折れたら悔しいじゃない! ムカつくやつらに参りましたーって言ってるみたいでさ!」 「そ、そういうもんですかね?」 「そういうもんなのよ! だからこうやって一人で吐き出してるんじゃない。これが本当の迎え酒ってね」  そう高笑いしながら舞はビニール袋に手を突っ込み取り出した缶を開ける。そんな彼女の豪快さに俺も少し笑いがこみ上げ、自然と二本目の缶を開けてしまう。  そうやって会話をしながらふと先ほどコンビニで購入した飲み物に触れると、それらが既に冷たさを失っている事に気付く。  そんなに時間が経ったのかとスマホの時計を見ると時刻は午前三時を回ろうとしていた。 「やば……あの舞さん、俺そろそろ……」     
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