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同期会が終わり、たまたま来たエレベーターに二人で先に乗り込んだので、他の皆を待たなくてはいけなかった。 「うち、A駅だから近いでしょ」 「そういう問題か?」 「まあ、いいじゃないですか。あまり深く考えず」 僕はキシをまじまじ見た。 「いやなら、来なくていい」 いやではない、とまた言いそうになったが、 「どうして?」 と代わりに言った。エレベーターの扉が開いて、他の人達が降りてきた。 「お待たせー」 「これで全員?」 「安田さんとか、トイレ行ってる」 「井口もまだ来てない」 キシは同期の男どもと話し始めた。女子が話しかけてきたので、僕は彼女たちと会社の話をしながら、駅まで歩いた。 キシと僕は同じ方向に帰るので、同じ地下鉄に乗り込み、同期には同じ方向の人がいないので、二人きりだった。結局あまり話さないで、キシの部屋に行くことになった。 座って、と言われ、小さなテーブルの前の椅子に座る。キシはスーツを脱いで二つに折りたたみ、向かいの椅子の背に掛けて、 「何か飲む?」 と言った。さっきのエレベーターの時から、ずっと心臓がどきどきして喉のあたりが変だったが、キシは普段オフィスにいる時と同じように見えた。 「コーヒーとか飲む?」 「いや、いいけど」 「シャワー浴びる?」 「浴びるけど。キシさんて彼女がいるんじゃなかったっけ」     
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