一章 三幕 歓談

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 ナタリアが少し言い淀む。シャイアは笑顔で気付かない振りをして、先を促した。 「このようなって?」 「その……愛想が無い、のです」 「うん、でもその美貌なら引く手あまただったでしょう?」  シャイアは遠慮せずに肯定した。愛想が無いのはよく分かる。教育はされているから、これはもう、元から素養がゼロなのだろう。だから、それをナタリアに求める積りは、最初に顔を合わせた時から無い。 「確かに、絵姿を見て結婚を申し込む方はいらっしゃいましたが……顔を合わせると、つまらないようでして」  破談に、という事らしい。 「ナタリアはお喋りも上手なのになぁ。それは男の方に社交性が足りなかったんだよ」 「……」  流石に何とも言えず、ナタリアは沈黙で返した。  お喋りが上手、等とは親にも言われた事が無かった事だ。まして、親とお喋りをする余裕等ナタリアには無かった。  今迄話した事に嘘は無い。ただ、言っていない事は山程ある。そして、それを明かす気は無い。  シャイアはナタリアの返事を待つらしい。クッションを抱えて、視線で言葉を促される。  少し目を伏せてから、ナタリアはようやく口を開いた。 「……陛下は」 「シャイア」  すかさず訂正が入る。 「……シャイア様は、私の事をお慰めくださるんですのね」     
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