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(何せ、純粋な兵力だけならばヴァベラニア王国はソロイア帝国の三倍。私自身が斥候したのだから間違いない)
そんな国から嫁がせた王家傍流の娘に何かあれば、今度こそ本格滴な戦になる。戦の理由になってしまう。
それは両国共に望まぬ結果であり、それを防ぐためにナタリアはいるのだ。
「シャイア様のような方と家族になれて……、私は幸せですわね」
「私も、美人の奥さんが来てくれてこの上無く幸せだよ」
さぁもう遅いから休もう、と、シャイアは話を切り上げて立ち上がった。
寝室は、ナタリアが別の国から嫁いできたという事もあり、夫婦で別であった。シャイアは様々なものが見えるが、性格が悪いわけではない。先達てに戦争をしたばかりの国に嫁いできたナタリアの事を気遣いもしているし、お喋りを楽しんだのも本心だ。
来た時よりも二人ほど多い侍女に挟まれて廊下を進むと、隣り合った部屋の扉の前でナタリアは止まる。ここが自分に割り当てられた私室だからだ。
一緒に立ち止まったシャイアに向って膝を折る。
「それでは、おやすみなさいませ、シャイア様」
「おやすみ、ナタリア。……あぁ、そう。さっきの驚いていた顔、なかなかに可愛かったよ」
「お戯れを……」
「ははは! じゃあ、また明日の晩餐で」
「はい」
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