一章 四幕 いつもの日の始まり

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 王は朝議を終え、執務室で貴族それぞれと謁見していた。シャイアの後ろには、燻したような銀髪を後ろに撫でつけた、三十そこそこの男が立っている。その姿は軍属上がりを思わせる鍛え抜かれたもので、上背も高い。この国の宰相であるロダスだ。  今謁見しているのは、国境に程近い領地を持つ地方貴族、ランデュラ子爵。川沿いに大きな農地を持っているのだが、国境から百フェイ(約10キロメートル)は直轄地である。  だから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。  シャイアは終始ニコニコとして話を聞いていたが、ふむ、と一つ息を吐く。 (嘗められたものだなぁ、私も……)  この溜息も本当である。全く、嘗められている。侮られ、油断し、隙あらば食いつこうとされている。 (そんなに頼りなく見えるものかねぇ。若輩なのは本当だけれど……)  と、考えながらロダスを見ると、首を横に振る。そのような報告は上がっておりませんという事だ。     
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