一章 六幕 図書室

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「王妃様がご所望の本をおっしゃっていただければ、私が取ってまいります」 「えぇ、ありがとう。植物図鑑が欲しいのだけれど……」  ローザは蔵書の場所を把握しているらしい。自分で探すのも手間だし、知られて困る本でもない。素直にお願いした。 「畏まりました。席でお待ちください」  見れば、明り取りの大きな窓の傍に幾つかの席が設けられている。  ナタリアがそこに座って数分もしない間に、ローザは彼女の掌程の厚さもあろうかという本を3冊抱えて戻ってきた。 「ありがとう。重かったでしょう?」 「いえ、そんな事はございません。では、私は外で控えておりますので、終わったらお呼びください」 「ありがとう」  本を読む時に人がいるのも邪魔だろう。シャイアの昨日の言葉を聞いていたローザにすれば、ここにナタリアに見られて困るものは置いていないのだ。だから、ローザは礼をして廊下へと下がった。  ナタリアは早速本を捲ると、自国で採れたある植物がこの国にもあるかどうかを調べ始めた――。     
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