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「王妃様がご所望の本をおっしゃっていただければ、私が取ってまいります」
「えぇ、ありがとう。植物図鑑が欲しいのだけれど……」
ローザは蔵書の場所を把握しているらしい。自分で探すのも手間だし、知られて困る本でもない。素直にお願いした。
「畏まりました。席でお待ちください」
見れば、明り取りの大きな窓の傍に幾つかの席が設けられている。
ナタリアがそこに座って数分もしない間に、ローザは彼女の掌程の厚さもあろうかという本を3冊抱えて戻ってきた。
「ありがとう。重かったでしょう?」
「いえ、そんな事はございません。では、私は外で控えておりますので、終わったらお呼びください」
「ありがとう」
本を読む時に人がいるのも邪魔だろう。シャイアの昨日の言葉を聞いていたローザにすれば、ここにナタリアに見られて困るものは置いていないのだ。だから、ローザは礼をして廊下へと下がった。
ナタリアは早速本を捲ると、自国で採れたある植物がこの国にもあるかどうかを調べ始めた――。
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