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一章 二幕 戦の理由
ヴァベラニア王国は、大陸の東側内陸に位置し、肥沃な大地を抱える大国である。……土地だけは。
北は万年の雪に閉ざされた未知の国、西と東はウルド山脈によって遮られた、いわゆる盆地だ。
あまりに広大すぎる盆地のため、国の中で経済も何もが成立してしまい、そのせいか、些か長閑な……悪く言えば、田舎の国であった。
また、食糧事情も土地も不自由しない事、更にはウルド山脈と周りの地形によって、余り近隣諸国との国交が盛んな国ではない。
ウルド山脈の隔てた東南には、海に面したソロニア帝国がある。こちらは逆に、近隣諸国との交易が盛んで技術や文明は一歩も二歩も進んでいるのだが、国面積が人口密度に対して小さい。
栄える場所には人が集まるもので、ソロニア帝国はそれを良しとして移民を受け入れていたのだが、食糧自給率はもともとそこまで高く無いのが災いして人口の増加に供給が追い付かなくなってきていた。
ソロニア帝国の先代、ヴァベラニア王国にとっては先々代の王の時代に、ウルド山脈は互いの国境としてどちらの国にも属さないと取り決められ、二国協力の元一部を開拓し、そこに関所を設けて交易の窓口としていた。
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