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「そうなのかい? やはり文明の進んだ国は違うんだね。ねぇ、もっと君の家の話が聞きたいんだ、この後一緒にお茶でもどうかな」
「私めでよろしければ」
「ありがとう!」
こうして、デザートの後は王宮の私的なサロンの一つで、ソファでくつろぎながら歓談という運びになった。
侍女の先導の元、シャイアの少し後ろにナタリアという調子で、小さなサロンへと向かう。
侍女が扉を開けた先には、暖かな色合いの薄茶色の壁紙に木目の家具、庭園へ開かれた露台からは、夜も水が流れ続ける噴水が見える。
シャイアが勧めると、……茶色い革張りのソファは柔らかく沈みこむようだったが、ナタリアは浅く腰掛け行儀よく背筋を伸ばして座った。暖炉に火を入れるには早い季節なので、ショールを羽織る。
すでに用意はなされていて、暖かな紅茶とちょっとしたお菓子を片手にお喋りの時間となった。
「ナタリアは義母上の事は何と呼んでいたんだい? 伯爵夫人?」
「はい。私は一人娘でしたが、オペラ伯爵には優秀な義理の息子がおりました。なので、その方は名前に様を付けて、父上は伯爵、母上は伯爵夫人、と」
つまり、後継ぎは既にいるので自分はどこかに嫁に行く事が遠の昔に決定していたという事だ。シャイアはそれに気付かないふりで、目を丸くして聞き返す。
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