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孔明のその言葉に、玄徳は声を鋭くさせた。
「おい、まさか孔明。お前ストラジェストを選択するつもりじゃないよな?」
「そのまさかさ。僕はこのジョブにするよ」
「や、やめとけって!」
玄徳が声を上擦らせた。
「せっかくナイトとかソーサラーとかかっこいいジョブがあるのに、なんでそんな地味でパッとしないジョブを……!」
「でももう決めたから」
「せ、せめて同じ特殊職ならアサシンとか……!」
引き留めようとする玄徳の声を無視して、孔明はそのジョブを選んだ。
玄徳が声にならない声で悲鳴を上げる。
ジョブを選択したことによって画面が暗転。
次に視界が開けた時、孔明の目の前には広大な大地と赤と青と緑に色分けされた三つの大国がそびえるスリーキングダムの世界が広がっていた。
孔明は、今世界で最もエキサイトしているグランドゲームへと足を踏み入れたのである。
孔明が最初に訪れたのは緑の大国「グリーンフェアリー」の本拠地。
妖精の王国「アヴァロン」であった。
アヴァロンは人間種族以外に妖精やエルフといった種族が所属する中世ファンタジー世界観をコンセプトとした国である。
孔明はアヴァロンの地に降り立つと、周りの景色を見渡した。
ルネサンス様式に近い左右対称になった綺麗で荘厳な建物。
白い鳩が飛び回り、輝く日差しと所々に植えられた植物が優しい陽気を演出してくれている。
音楽もオーケストラのような派手で気持ちを高揚させるような音楽が鳴り響いていた。
「すごいな……」
孔明だって十三才の男の子だ。
こんな迫力のある映像や音楽を味わわされたら、もちろん息くらいは呑んでしまう。
「どうだ、すごいだろ」
そんな孔明の背中に誰からの声が届いた。
孔明は振り向く。
そこには孔明の見知らない銀髪の青年が立っていた。
「ようこそ、スリーキングダムの世界へ」
青年がその場で優雅な一礼を取った。身長が百八十センチはあるか、顔立ちも整っていて、筋肉もしっかりついている。優男という感じはしない。見た目は好青年だった。
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