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「物好きにもストラジェストなんて選んじゃった友人を俺が楽しくエスコートしてやるぜ」
だけど、その口調に孔明は聞き覚えがあった。
「もしかして玄徳か?」
「正解! さすがに気付いたか」
銀髪の好青年、玄徳は笑って応えた。
「どうだ、俺のアバターは? かっこいいだろ?」
「かっこいいけど、すごい髪色だね。目がまぶしいよ」
「ふっふっふ、この銀髪はな、子供の頃に湖の精霊と契約を交わしたことで魔力を帯びた銀髪へと変化したって設定があるんだよ」
「へぇ、幼少期のイベントなんてあるんだ」
「違うって! 俺がそういう設定を考えて俺がそう決めたの! 分かってないなぁ……」
真面目な孔明の返しに、玄徳が頭をがりがりとかいた。
「まっ! そんなことはどうでもいいか、それよりも孔明! せっかく俺と同じ『グリーンフェアリー』に所属できたんだ。せっかくだから本拠地内を案内しながら、色々と教えてやるよ!」
玄徳は孔明の肩をがっしりと抱き寄せて、無理矢理に彼を引っ張った。
玄徳と孔明は街中を歩き始める。
「まずは俺たちのいるこの場所! グリーンフェアリーの本拠地である『アヴァロン』! ここは中世ファンタジーを基に造られた王国なんだ」
「中世ファンタジー?」
「そう! いわゆる剣と魔法の世界って感じだな。所属できる種族は人間(ヒューマン)以外だとエルフとか妖精とかそういう感じで、ジョブもさっき一覧で見たような奴だな」
「なるほどね」
「そんでもって可愛いもの好きなユーザーからの人気が高いかなぁ。リアイベとかじゃあグリーンフェアリー系の種族とかジョブのコスプレばっかだし、ガチ勢よりエンジョイ勢が多いイメージが俺はするなぁ」
「ガチ? エンジョイ?」
「あー、その辺の用語は追々説明してやるよ」
玄徳は適当にはぐらかしながら、道なりに進んだ。
「それであっちがブライトン商店街。普通にアイテムを揃えるならここで充分。それから……」
基本使いする場所を何か所が紹介しつつ、孔明を案内していく。
二人が街中を進んでいると玄徳の言っていた通り、人間だけじゃなく妖精やエルフといった種族の姿も見かけることがあった。オッドアイにしてみたり髪を紫色にしていたり、個性的なキャラクターを使っているプレイヤーもいれば、孔明のように現実世界の自分を真似たようなそつのない姿のキャラクターもいた。
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