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彼女は孔明の胸に飛び込んで助けを求めた。
キノコ帽子が孔明の目の前でゆさゆさと盛大に揺れる。
「この人たち、私に因縁をつけてきて困っているんです!」
「なにを……!」
「わー! わー! 怖いですー! この髭のおじさんとか超怖い! こんなか弱い私が一体何したって言うんですか!?」
「お前が俺たちのホームに……!」
「何を言っているか分かりませーん! 変な因縁つけてこないでくださいー!」
まるで子供のように大騒ぎして、帽子のつばで耳を覆うマーリン。
「ガキのようなことを……!」
アーサーは握り拳をつくって苛立ちを露わにした。
どうにも。
孔明が考えていた展開とはかなり違った状況のようであった。
おそらくこの騎士団とキノコ帽子の少女は争い合っているようだが、どっちが悪くて、どっちの言い分が正しいのかまだ見えてこない。そもそもなぜ争っているのかもよく分からない状況だ。
「あの」
ひとまず孔明は、何を言い争っていてどうして揉めているのか、そういう問題を明確にしようと声を発した瞬間。
「うそ、貴方ってもしかしてストラジェスト?」
孔明を見るマーリンの目が妖しく輝いた。
「はぁ、一応そうですけど」
「ストラジェスト使いなんて久しぶりに会ったかも! 名前は孔明くん、でいいのかな? すごい、すごい! こんな所でフリーのストラジェストと出会えるなんて私ってとってもラッキー!」
「ラッキー?」
「孔明くん! 良かったらうちのレギオンに入らない!?」
マーリンは孔明の手を取り、ギュッと握りしめながら潤んだ瞳で見つめた。
「見た通り、私ね、すっごく困ってるの。変なレギオンに目を付けられちゃって、見知らぬ罪を被せられて運営に通報されそうなの。すごく可哀想だと思わない?」
「はぁ」
「ねぇ、孔明くん。あいつらを追っ払うのを手伝ってくれない?」
「追っ払うって、僕が?」
「そうだよ。ストラジェスト使いさえいれば、あんな奴らレギオンマッチでぼっこぼこにできるもん!」
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