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「おい」
マーリンの喜ぶ声を聞いていたのだろう。
アーサーや周りの騎士たちが怖い顔で孔明とマーリンを睨みつけていた。
「今のは聞き間違いか? レギオンマッチで勝負すると聞こえたぞ」
マーリンが見下ろしてくるアーサーに対して、鼻を鳴らして睨み返した。
「聞き間違いなんかじゃないよ。貴方のレギオンと私のレギオンでレギオンマッチをやるってそう宣言したの」
「ほう、一応確認するが、レギオンマッチでは勝利したレギオンが相手のレギオンのあらゆる権利を好きにしていい。そういうルールだってことはいくらお前でも知っているよな?」
「もちろん」
マーリンは胸を張って答えた。
アーサーが答えを聞いて顔を歪める。
「正気か? 弱小とはいえお前だって二年間も自分のレギオンを運営してきたんだろ? それをこんな初心者が仲間になったからといって、あっさり手放すなんて……」
「この子が初心者? まさか、冗談でしょ!?」
マーリンはアーサーの言葉を笑い飛ばして、話した。
「初心者でいきなりストラジェストなんて地味で難しいジョブ選ぶ人なんている訳ないじゃない!」
彼女の言動に、孔明が口を開きかける。
「いや、僕は初心しゃ……」
「孔明くんは無名だけど凄腕のストラジェスト使いだって、私の直感がそう囁いているもの! 間違いないわ!」
「だから、僕は……」
「孔明くんがいればレギオンマッチだって絶対に勝てるはず! だよね、孔明くん!」
「あの、僕の話も聞いてくれますか?」
孔明はどうにか彼女とコミュニケーションを取ろうとしたが、マーリンは興奮した様子でキノコ帽子を揺さぶっており、まるで孔明の話を聞いてくれようとはしなかった。
マーリンが指を立てて、宣言する。
「ともかく! いまこの場でレギオン【ストーンヘンジ】はレギオン【円卓の騎士団】へレギオンマッチの申請をいたします!」
彼女がそう宣言し終えると、アーサーの目の前にレギオンマッチ承諾確認の選択画面が浮かび上がった。
選択画面を突き付けられたアーサーは、こめかみに血管を浮き立たせて笑う。
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