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「……面白い。その挑戦受けて立ってやる。お前の弱小レギオンなんかで俺たち【円卓の騎士団】に勝てると思うなよ?」
アーサーが選択画面のYESを選んで言った。
マーリンは不敵に笑う。
「ふふふ、そっちこそこっちには孔明くんがいるんだからね? あとで吠え面かいて泣きながら謝って来ても許してあげたりしないんだから!」
「なにぃ?」
そうやってさんざん相手を煽りに煽るマーリンであったが。
「……なんだか変なことに巻き込まれちゃったな」
孔明は自分自身で首を突っ込んでおいて今更ながら、そんな風に後悔するのであった。
レギオンマッチが決まってから十分後。
孔明はレギオン【ストーンヘンジ】の所有する拠点(ベースポイント)へとやってきていた。
拠点には、二十人程度のレギオンメンバーが集まっている。
「今日、ここに来て! 私たちは反撃の契機を得た!」
マーリンがキノコ帽子を揺らしながら、演壇に上がって高らかに演説をしている。
「弱小レギオンと罵られ続け早二年! いつもポイント稼ぎに使われ続けた私たちのレギオンがようやくあの【円卓の騎士団】に仕返しをするチャンスを得たのです!」
マーリンが演壇に孔明を招き寄せる。
「いや、だから僕は……」
「彼は孔明くん! 私が、この私マーリンが! スカウトした超優秀ストラジェストです!」
マーリンがそう叫ぶと、周囲のメンバーたちがどよめいた。
「孔明くんなら、あの【円卓の騎士団】にも勝てるとっておきの策を用意してくれるでしょう! 詳しいことは全部孔明くんに任せて、私たちはいつも通り戦えばそれでオッケーなのです!」
周囲のメンバーから「やったー」だの「まじかよ、最高じゃん」みたいなお気楽な声が返ってくるので、孔明はとてつもない不安を覚えた。
見ず知らずの人間にゲームの主導権を握らせるというのは一体どういうつもりなんだ? おそらくこの中には自分よりも年上のプレイヤーが何人もいるだろうに、ゲームだからといってこんなにも自分の思考を放棄するものなのだろうか。ちょっと信じられない気持ちに陥った。
いや、遊びなんて所詮はその程度なのだろうか。
孔明は頭の中で何とも表現しがたい感情を整理していると、孔明の無言を自信の表れと勝手に解釈したマーリンがどんどん話を進めてしまう。
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