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「……分かったよ」
「そっか! それじゃあ、今日もお前のベッドを……え!?」
「だからやるよ、ゲーム。スリーキングダムだっけ?」
「ほ、本当か! あの頭の固い孔明が俺とゲーム!?」
「何だよ、その言い方は。僕だってこう何度も誘われたら一回ぐらいは付き合うさ」
「おおっ……! やった、やった! じゃ、じゃあお前の気が変わらないうちに早速始めようぜ!」
玄徳は慌てた様子で孔明の使用するゲームデバイスに『スリーキングダム』のゲームデータをダウンロードして、孔明に質問をしながら脳波同調率や色彩の設定を調整した。
「よし! こんなもんだな!」
玄徳がデバイスを孔明に手渡した。
「被ってみろよ」
「うん」
「ぶはっ! 似合うなぁ! 孔明! すごい似合ってる!」
「……一応褒め言葉として受け取っておくよ」
孔明は玄徳をデバイス越しに睨みつつ、装着したデバイスに触れた。
「どうだ、着け心地は?」
「うん。思ったよりも重くない、かな?」
「まあ、長時間つけていると首とか疲れてくるけどな! ともかく起動させてみろよ!」
「うん」
装着しているデバイスに青白い光が灯った。起動したデバイスから孔明の視界と脳へダイレクトにシンクロウェーブが発信されていく。
「わっ、わっ」
孔明が思わず声を上げた。中学二年生らしい子供っぽい驚きの声だった。
玄徳はそんな孔明の反応を楽しみながら自分もデバイスを装着した。
孔明の意識に直接玄徳の声が響いてくる。
「よう、孔明」
「玄徳?」
「ここからはデータ内での会話になるからな。俺の指示通りに操作してくれ」
「あ、ああ」
孔明は玄徳の声に応じながら、データ世界へと意識を沈めていった。
孔明の前には『Three Kingdoms』という赤と緑と青で装飾されたタイトルロゴと何百人という兵士や戦士の戦っている美麗な背景イラストが表示されている。
孔明は『NEW GAME!!』を選択した。
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