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そうさ、慣れちまえばなんてことないもんだ。
樹の上でぶらさがってる顔のついた果実も。
塀の隙間からうねうねと延びてくる真っ白な指も。
信号機の下で真っ白な身体をくねらせてる肉の塊も。
横断歩道で時折、バイクよりも速いスピードで駆け回ってるよくわかんねー刃物も、全部全部――ただ“そこにいるだけ”の存在なのさ。
お前らは見えないからって、なんでもかんでも決めつけて否定しすぎなんだよなあ。
あー、どこまで話したっけ?
あーそうそう、そうだった。
俺はそういうもんを、景色の一部として普通に眺めながら散歩してたわけなんだが――ある夜な、コンビニの縁石の下の影で、目があったんだよな。
それ、は初めて見る奴だった。人間みたいな目玉をもってたけど、白い部分が黄色で、でも血走ってて、黒目部分は真っ赤な色だったんだ。面白いかんじの目が、影の中でそれだけ存在感を放ってたんだよな。
なんだろうな、って不思議に思って話しかけてみることにしたのさ。ちょうど今日みたいな、月の無い夜のことだったよ。
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