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――――痛ましい事に、小さな子供だった頃のユウは、自分よりはるかに身体の大きな大人の男達に何度も過酷な暴力を受けたようだ。  母親も守ってくれず、耳を覆いたくなるような激しい虐待を受けたらしいのだ。  ユウが、息が止まるほど恐怖したのは、その『身体の大きな男』だ。  その時ほど、零は、自分の身体を呪いたくなった事はない。  身長が198㎝まで伸びた零は、小柄で華奢なユウから見たら、十分に『身体の大きな男』だ。 ――――零は、ユウのPTSDを引き起こす、恐怖の対象となってしまったのだ。 (でも、着ぐるみを着たりして……その恐怖は大分薄まってきているんだけどなぁ)  そう思い、零はフゥと溜め息をつく。  そう、零は一時は諦めようかと思ったユウに対する恋心を結局諦め切れず、ユウの好きなフワフワの着ぐるみを着たりして、必死に『怖くない』アピールをしたのだ。  健気で、涙ぐましい努力だと感じたのか?  ユウは、そんな零を笑顔で見つめ、キュッと優しく抱き付いてきてくれた。  恐怖心を克服し、愛が勝った瞬間だった。  そこからは、またバードキスの日常に戻ったが……本当にちょっとずつだが、互いの身体に触れる回数は確実に増えてきている。  最後に会った時などは、ユウは恥ずかしそうに頬を染めて目を瞑っていたが、やんわりと、ズボンの上から零の太腿をそっと触ってきた。  その瞬間、零は速攻でトイレに駆け込んだが――……あのまま耐えていれば良かったと、今は猛烈に後悔している。  そう、とにかくこの一年で、恋仲が進展しているのは間違いなく確かなのだ。  非常に忍耐と我慢が必要だが、ゆっくりと二人の関係は深まっている。  今、最大の問題は――――双方の仕事が順調すぎて、全く顔を合わせる機会のないまま半年が経っている事だ。  恋人同士の筈なのに、電話やラインだけでは物足りない。
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