炎狼の花嫁

3/37
前へ
/37ページ
次へ
 ここに来るまで滞在していた南国のメルディエル女王国では、王家の縁で部屋が広かったおかげで、だいたい本来の姿で過ごしていた。草原の天幕では流石に無理があるから、恋しいのかもしれない。 「あとでたっぷり埋もれさせてやるからそろそろ起きろ、レイ。エミリアかユイスが起こしにくるぞ」  それでもなかなか起きようとしないレイスに、ヴァルディースは肩を抱き寄せ、首すじに唇を埋めた。毛布の隙間からレイスの下肢へと手を這わせると共に、首すじに噛みつくようにきつく口付けの跡を残す。途端にぱちりと大きく目が見開いた。 「……っ!?」  間近にあるヴァルディースの顔を見てレイスはぎょっとし、顔を赤く染めて慌ててベッドの反対側へ転がり出ようとする。それを引き戻し、きつく背中から抱きしめる。 「何、してんだ、おまえっ!」 「もうすぐ誰かが起こしに来るだろうに、お前がなかなか起きないからな。俺とお前の睦まじさをみんなに見せつけたいのかと」  逃れようともがくレイスの反応が面白い。太もも撫で上げると、毛布の内でレイスの腰がびくりと震える。ヴァルディースの魔力をたっぷりと注いだ昨夜の名残で、レイスの身体は僅かな刺激にもとても敏感だ。 「昨晩あれだけしてやったのに、まだ足りなかったか?」  胸元を弄り、指先で突起を掠める。かっと首筋にまで朱が走る。 「ッーー!」     
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加