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胸の先を摘むと、レイスが喉をのけぞらせて声をあげそうになるのを、慌てて堪えた。そのまま長い金髪が流れ落ちる首筋に齧り付く。
「ふざけ、んな、馬鹿! ユイか姉貴がくる!」
声を抑えてレイスが詰る。必死でヴァルディースの腕から抜け出そうと足掻くが、足腰に力は入っていない。それでなくてもヴァルディースとレイスは少し力を込めれば、簡単に動きを封じることができるような体格差だ。その上密着して魔力を流し込むと、レイスはヴァルディースに魅了されて抵抗できなくなる。
最初はあからさまに詰っていたレイスの声の調子が、素肌に指を滑らせ、口付けを落とすたび、次第に甘く蕩けていく。眷属は上位精霊の溢れる魔力に抗えない。特にレイスにとってヴァルディースの魔力は極上の快楽となる。
唇を重ね、僅かでもそれを与えてしまえば、レイスは強請るようにヴァルディースの首に自ら腕を回した。応えるようにヴァルディースもレイスの腰を抱き寄せる。
しかしそっと指先を最奥に添えようとしたところで、扉の前で躊躇いがちにごほんと咳払いする音に、ヴァルディースは手を止めた。
「二人共、朝ごはんの用意が、できたから、ね」
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