第1章 来訪者

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静かな部屋に響く小さなノックの音。 一人には広すぎる家に、木のやわらかな振動がこだました。 隣のイズミさんがまた野菜を持ってきてくれたのだろうか。 イズミさんは自分の畑で採れた野菜をいつも一番にうちへ持って来てくれる。 アイズベリーにクグル、雪の実、サクライモなど、家にある野菜やフルーツは大体がイズミさんの畑で採れたものだ。 今度は何を作ろうか。パイ、タルトやケーキ、それとも初心に戻ってシンプルにドライフルーツ… などと考えながら扉を開けると目の前に立っていたのは見慣れたふくよかな笑顔ではなく、見たことのない三つの険しい顔だった。
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