第1章 来訪者

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改めて部屋で見ても彼らはやはり異様だった。 上着の下から見える腕は三人ともとてもたくましく、一人は額から顎の髭の方まで古い傷跡がある。 もう一人は綺麗な金の長髪の男。 また、よく見ると三人の中の一人は女だった。 女なのにとても大柄で肩もしっかりしている。 若く見えるが、そう見えるのとは裏腹に女らしからぬ威厳のような、何かとてつもない大きな存在であった。 「何か変かい?それとも警戒してる?」 女がふふっと笑った 「いえっすみません。失礼しました!」 「そりゃそうだよ。いきなりこんなあやしい奴ら現れたら。ねえ?」 長い金髪をかきあげて細い男もはははっと笑った。 男の言う通り、小夜はこの三人に怪しさしか感じることができなかった。 突然現れ、今やだれも呼ばぬ父の名をよんだ人たち…。 警戒しないほうがおかしいのではないだろうか。 「あの誰なんですか。父とは一体どういう関係なんです?」 「うーん…同業者って言ったところだね。カズイとはずっと前からの付き合い。君はカズイの娘さんかい?名前は」 「小夜です。」 「でもあんた…私たち名乗ってもいないのに疑わないのかい?ちょっと無防備すぎるよ、心配になるね。」 「ご、ごめんなさい」 そうはいっても、この三人の存在の前には、自分の名前が知れることなどどうでもいいような気がしてしまった。 「ま、気をつけなよ。それにしてもカズイがこんな早く逝くなんて考えもしなかったね」
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