第1話 ある日の夜

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〈ドドドドドド……〉 「ふぅ、着いた……」と、僕は、独り言を呟きながらね、愛車のサイドブレーキを左手で『ギィ~』と、あげたんだ。 その後はね、エンジンを切ると、運転座席の扉を左手で『ガシャン』と、開けた──それから外に出ると、今度はね、後ろの座席の扉を力強く『ガン、ガラガラ……』と、開け終えると。 「あっ、あの……か、彼女、お、起きて、起きて、起きてよ──」 僕ね、人形のように、後部座席のベンチタイプのシートに転がっている宇宙人の彼女に声を掛けたんだよ。 でもね、相変わらずの無反応で、起きてくれないから。どうしたものかと悩んでしまう。 だってね、僕の住んでいるアパートまでの道のり間でも。宇宙人の彼女は全く起きないんだよ。 いくらブレーキやカーブで、ハンドルを強く切っても全く起きないんだよ。
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