第1話 ある日の夜

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その声がね、また闇の地の底から、聞こえてくるような気がするのだ? だから先程も述べたけど。冬の夜で寒いのにだよ。更に恐怖で寒さが上乗せされた気がするよ僕なのだ。だって、最初は空耳だから? と、自分自身に言い聞かせていた訳だから。 ……でもね、いよいよ、うめき声まで混じってくると、流石に怖くなって畏怖し始める。 そんな訳だから、とにかく後ろを振り向かないように心がけたよ。それもブルブルと震えながら……歯の方も、段々とガチガチと、音を出し始めたよ。恐怖で畏怖し始めて上手く歯が噛み合わないの。 〈ガサガサ……〉 〈ガシャン、ガシャン……、ガシャン……〉 ……えっ? もしかして僕の真後ろで、音が止んだ? そう思うとさ、僕は、体の血の気が、一斉に引いた感じになったような気がする?
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