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決意表明
「草津。
君が、
いまどこで死のうと僕は、
痛くも痒くもない。
けど、
いま君に死なれると、
君の為に用意したクロユリが無駄になる。
それだけは、
勘弁して欲しい。
だって綺麗だろ? まさに、
いまの君を表したかの色づかい」
「…泉石…俺は……もう」
草津の前に差し出された、
クロユリ花束。
「……なぁ? 復讐しないか? お前の大事な茉莉川杏奈を奪い去った柿谷霧矢に。
だって、
お前は、
愛してるんだろ? 好きなんだろう? じゃあなかったら……」
全てに絶望し、
自ら命を絶とうとした草津に、
顔を近づけ、
悪魔の言葉を囁く。
「こんな廃墟じゃなくて、
自分の恋人を誑かした相手の前で死ぬだろ? その方が、
両方に、
最大級の屈辱を一生与え続ける事ができるだろ? お前の死後永遠に」
「……泉石。
お前なにを」
草津の瞳に、
微かな光が走った。
渚は、
その一瞬を見逃さなかった。
「草津。
あいつらは、
お前が死のうと全然気にしないぞ。
それどころか、
お前の死後、
堂々と結婚するかも知らないぞ! お前は、
それを許せるのか?」
「……あんん杏奈は……」
茉莉川杏奈の名前を必死を呼ぶ。
草津は今でも彼女のことを信じている。
自分は、
裏切られた。
けれど……
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