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恋敵出現
『……ちょっとやり過ぎじゃあないのか?』
左手で電話を掛けながら、
右手には、
窓越しに映る草津千里を見る為に、
双眼鏡が握られている。
昴が居るのは、
渚が働く探偵事務所の向かいにあるマンションの屋上。
この場所から、
昴は、
渚に頼まれ、
草津千里の恋人である茉莉川杏奈と草津の上司である柿谷霧矢との浮気現場の写真を撮り続けていた。
「……あいつも思い知ればいい。
あいつは、
捨てられたんだよ。
恋人にゴミみたいに」
電話口から聴こえてくる渚の声は、
いつもにまして残酷だった。
だけど、
どこか楽しそうだった。
『……お前って、
最低な奴だな』
「……昴。
そう言うお前も、
俺の事言えないだろ?」
『……渚。
俺は、
お前程じゃあないから大丈夫。
ところで、
次のゲームはいつ始めるの?」
「昨日本人に会ってきた。
例物を渡す為に」
『相変わらず、
行動速いね?』
「だって、
奪うなら早い方がいい、
君がそう言ったんだろ?」
『…渚。
事々は、
段階を踏まないと警戒されるよ』
「…そうならない為に、
お前が居るんだろ? 昴」
『あぁ! 巻き込まれる事確定ですか?』
「今更だろ」
『解ったよ。
次はいつ?』
「3日後」
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