略奪は、甘い蜜の誘惑

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「渚さん。 私達、 結婚していないんです。 だから……ってななななぎささん!」  _ビリビリ_ 招待状を思いっきり切り裂く音。 「……ぁあ! もしかして……」  やばい事した風に、 樹里を振り返る。 「あぁぁぁぁぁっぁ、 でででででででもっ、 ききききななんでもありません!」  自分で、 自分の頬を叩きながら悶絶する樹里。  そんな樹里に、 渚は、 自分の身の(半分嘘)話を少し話す。 「……僕にも、 結婚を約束した恋人が居ました。 でも、 彼女は、 3年前に自分の前から突然姿を消しました。 だから、 僕は、 貴方が羨ましいです。 会いたい時に、 すぐに連絡できて、 声が訊けて、 会いに行ける若草さんが羨ましいです。 あぁ! すみません、 僕の話は……」 「あぁ! そんな事は……」  渚の突然の身の上話に、 悶絶していた樹里は、 慌てて否定する。
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