略奪は、甘い蜜の誘惑

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『……だったら、 責任取って下さい! 私の大事な物を奪った責任」 『…えっ!』 『最後まで責任取ってね? 嘘つきお兄さん』 _ゾッと 背中に冷たい風が吹いた音_ (なんで、 渚さんが…貴方本当に永輝さんの知り合い?) 「…若草樹里さん」 「!?」  いつの間にか、 自分の事を引き離し、 距離を取っていた渚が、 樹里に声を掛ける。 『…略奪は、 甘い蜜の誘惑。 そして、 その誘惑からは誰も逃れられない。 例え、 それが偽りのキスだとしても』 「ちょっと待って!」  意味深な言葉を残し、 樹里の元から去って行く渚。  そして、 そんな渚に言葉の意味を訊きたく為に、 大きな声で叫び続ける樹里。  けれど、 樹里の声は、 急に吹いた風によってかき消された。
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