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最終章:僕は、君を略奪する。
『美緒さん。
まだ?』
『渚くん。
いま取ったら、
渚君の事嫌いになるし、
もうキスもしてあげないから』
『…』
『…もう、
本当、
渚君って冗談に弱いよね? まぁ…そこが好きなんだけど』
『美緒さん!?」
『渚君。
私、
まだいいって言ってないよ?』
『あぁ!』
『約束が守れない人には、
お仕置きが必要です!』
『みみみみみおさんんんん……』
『渚君お誕生日おめでとう! 大好きだよ』
★ ★
_ピィピピィィィィィィピピピピピピ_ 目覚まし時計の音
「うううんんん……またあの夢か?」
ベットの横で鳴り続けている、
6年前彼女(古閑美緒)から誕生日プレゼントで貰った自分のイニシャルが捺印された白いネコの目覚まし時計。
僕は、
猫が大好きだ。
でも、
家族が猫アレルギーで、
家で猫を飼う事ができなかった。
だから、
美緒がそんな僕の気持ちを汲んで、
僕の十六歳の誕生日にこの目覚まし時計をプレゼントしてくれた。
これが、
僕が美緒さんから貰った最後のプレゼントと最後のキス。
☆☆
『…泉石、
いま平気?』
「草津。
俺、
いま、
朝食中なんだけど、
なんか用?」
そしてここは、
渚が一人で借りているマンション。
渚は、
草津がどんな用事で、
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