最終章:僕は、君を略奪する。

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自分に電話を掛けてきたのか、 仕向けた本人なのですべて知っているが、 それを感づかれないように、 機嫌の悪い感じで返事を返す 『…ごめん。 でも、 どうしてもお前に、 伝えたい事があって』 「草津! それって、 いまじゃあなきゃダメな事なのか?」  渚は、 コーヒーを飲みながら、 草津に本来の用件を尋ねる。 『あぁ! 今、 泉石お前に聞いて欲しい。 いや、 今じゃあなきゃダメなんだ』  渚のこの言葉で、 草津は、 彼に電話をした本来の目的を思い出す。 『…泉石。 俺、 杏奈と別れたんだ』 「…いいんじゃあねぇ? お前の人生だし。 けど、 別れたとしても、 職場で嫌でも毎日顔合わすだろう? お前大丈夫なのか?」 『それなら平気。 探偵事務を辞める』 (茉莉川杏奈。 君は…寂しい人だね? 本当の愛にも気づかず、 全てを失った) 『…そっか。 お前の決めた事なら俺は、 応援するよ』 「ありがとう。 お前は…いや、 これは、 俺が訊いちゃダメな話だったなぁ?」  草津千里は、 泉石渚にとって、 職場の同僚。
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