最終章:僕は、君を略奪する。

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言一言を間違える事なく耳元で囁いてきた。  それも、 私が、 永輝さんに襲い掛かるように囁いた言葉。  貴方は、 一体何者?  貴方は、 私と永輝さんの何を知っているの?  そして、 貴方が去り際に囁いた意味深な囁き。 【略奪は、 甘い蜜の誘惑。 そして、 その誘惑からは誰も逃れられない。 例え、 それが偽りのキスだとしても】  私は、 そんなの信じない。  だって私の唇、 体、 心は、 貴方の熱、 感触、 吐息まで、 昨日事のように覚えてる。  永輝さん。 今すぐ、 貴方の元に飛び込みたい。  貴方に触れたい。 私の不安をかき消して。 ★★ 「お客様?」 「……すみません! あの? ここは?」  考え事をしていた樹里は、 いつの間にか駅とは逆方向の路地裏に入り込んでいた。
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