最終章:僕は、君を略奪する。

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 すると、 渚は、 樹里を引き離すことなく、 むしろ自分から、 彼女の腰に手を回し、 自分の方に引き寄せた。  そして、 そのまま、 彼女の口元に…… 「…はっ!」  樹里は、 渚にキスをされるまさにその瞬間、 我に返り、 慌てて渚を地面に叩きつけた。 (やめて。 私の唇に触れていいのは、 後にも先にも永輝さんだけ。 私の唇は、 あの人の物。 貴方だけの物なの) 「……ご馳走様でした。 貴方の唇ってなんでそんなに美味しいですか?」 「……」  唇が重ねる前に、 渚を突き放したはずなのに……私の唇から、 永輝さんと触れ合った感触、 温もりが、 想いが奪われた。
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