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「……返して」
私は、
地面に突き放した渚の体に飛び乗った。
★
「…返して!?」
「わぁ! お客様。
大丈夫ですか?」
「えっ! ここは?」
「スタッフの休憩室です。
お客様、
どこか痛みますか? いきなり店の中で倒れたんですよ?」
(えっ! だったら……あれは夢? でも……)
樹里は、
自分の唇に触れる。
その瞬間、
樹里の耳元に……
『ご馳走様』
「えっ!」
「やっぱりどこか痛みますか?」
だけど、
声が聞えたのは、
その一瞬で、
次の瞬間にはもう聴こえなくていた。
自分の事を、
さっきから自分に声を掛けてくるショートカットの女性が心配そうに見つめてくる。
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