最終章:僕は、君を略奪する。

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(もしかして、 この人が……) 「それなら、 気にしなくて大丈夫です。 それに、 貴方を貴ここまで運んだのは、 私ではなく……」  休憩室に、 黒いスーツを着た一人の男性が、 黒いビジネスバックを持って入ってきた。 「灯さん。 それじゃ、 自分は仕事の途中なので。 あぁ! よかった気が付かれたんですね?」 「……泉石渚!?」 「あれ? お二人は、 知り合いなんですか?」 「そうだ! 灯さん。 丁度良かった。 彼女の相談に、 僕の代わりに乗ってあげてくれませんか? 彼女、 今日、 僕の親友にプロポーズするんですよ? ねぇ? 若草さん?」  自分のやってしまったミスに、 純粋な目で「お知り合いなんですか?」とキラキラした質問を向けてくる灯に、 どう返事を返そうかと悩んだいた樹里に、 渚が助け舟を出す。
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