141人が本棚に入れています
本棚に追加
けれど、
その助け舟は、
彼女を助ける物ではなく、
むしろ……
「えっ! プロポーズ! 頑張ってください」
「……」
テンションが、
最高潮になってしまった灯に、
何も返す事ができない。
「プロポーズするのは、
灯さんじゃあなくて、
彼女ですよ? もう、
昴が嫉妬しても知りませんよ」
「!?」
彼氏=鳴海坂昴の事が頭に浮かんだのか、
頬が真っ赤になっていた灯の表情が、
渚の一言で、
元に戻る。
「灯さん。
俺の親友、
岡宮永輝は、
若草樹里さんの事を俺に、
自慢してくるんですよ? 一度も会わせないくせに。
自慢の彼女だって。
でも、
実際会ってみたら、
あいつには、
もったいなぐらいの綺麗な女性。
でも、
二人は愛し合ってる。
だから、
俺は、
二人に幸せになって欲しい」
「渚さん……解りました。
私に、
任せて下さい。
この、
笹浪灯が、
必ず成功させてみせます」
「……若草さん。
結婚が決まったら、
教えて下さいね? では、
自分は、
時間が押してますのでこれで」
「はい」
今度こそ、
出て行こうとした渚は、
何かを思い出したのか、
樹里の方に近付き、
耳元に囁く。
最初のコメントを投稿しよう!