最終章:僕は、君を略奪する。

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 けれど、 その助け舟は、 彼女を助ける物ではなく、 むしろ…… 「えっ! プロポーズ! 頑張ってください」 「……」  テンションが、 最高潮になってしまった灯に、 何も返す事ができない。 「プロポーズするのは、 灯さんじゃあなくて、 彼女ですよ? もう、 昴が嫉妬しても知りませんよ」 「!?」  彼氏=鳴海坂昴の事が頭に浮かんだのか、 頬が真っ赤になっていた灯の表情が、 渚の一言で、 元に戻る。 「灯さん。 俺の親友、 岡宮永輝は、 若草樹里さんの事を俺に、 自慢してくるんですよ? 一度も会わせないくせに。 自慢の彼女だって。 でも、 実際会ってみたら、 あいつには、 もったいなぐらいの綺麗な女性。 でも、 二人は愛し合ってる。 だから、 俺は、 二人に幸せになって欲しい」 「渚さん……解りました。 私に、 任せて下さい。 この、 笹浪灯が、 必ず成功させてみせます」 「……若草さん。 結婚が決まったら、 教えて下さいね? では、 自分は、 時間が押してますのでこれで」 「はい」  今度こそ、 出て行こうとした渚は、 何かを思い出したのか、 樹里の方に近付き、 耳元に囁く。
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