止まった時間動き出す

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「茉莉川さんは、 今日、 資料作りだけなんだよね?」 「あぁ、 はい。 そうですけど」 「俺は、 俺はねぇ……」  ☆ ☆ ☆ 「はぁ」  渚は、 勤めている職場(デザイン事務所)をあとにして、 一本路木に入った小さな店に足を踏み入れた。 「…これまた、 大きなため息ですね?」 「しょうがないだろ。 あそこで、 素顔をさらけ出す訳にはいかないだろ」 「そうですね? あそこでの貴方は、 真面目な青年ですからね?」 「昴。 彼の素顔は、 把握できたのか?」 「はい。 こっちらがその資料になります」 「ありがとうって、 おい!」  渚は、 自分に資料を差し出してきた、 鳴海坂昴にツッコミを入れる。
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