止まった時間動き出す

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「ん? どうなさいました?」 「なんで、 敬語なんだよ!」  渚のツッコミに、 昴は、 顔にかかった髪を手で払いながら答える。 「渚、 そう怒るなって。 一度、 やってみたかったんだよ」 「だから、 そんな格好なのか?」  ※渚の前にいる鳴海坂昴の現在の恰好。  黒の礼服に、 白シャツに黒のネックタイ。 両手には、 白い手袋。 足元は、 黒の革靴。  そして、 極め付けは、 ジャケットのポケットから少し見える白いハンカチ。 「渚、 どう似合ってる?」 「微妙」 「ひどい」  渚の評価に、 納得がいかないのか、 昴がテーブルに身を乗り出してくる。 「昴の趣味に、 俺を巻き込むな!」 「ブー。 全く、 素直じゃあないんだから……」 「なにか言った?」 「なにも。 で、 渚、 この人、 なにかやらかしたの?」 「あぁ」
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