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本音と嘘
『……だったら奪えばいい』
あの日、
昴に言われて俺は、
決意した。
美緒さんをあの男から奪い取る。
昨日までは、
美緒さんの為に身を引く覚悟だった。
けれど、
俺は、
もう一度、
あの日の恋を取り戻す。
その為なら、
悪魔に魂を売っても構わない。
☆ ☆ ☆
『美緒さん。
ぼぼぼぼぼくくと付き合って下さい』
『渚君。
私からもお願いします』
「……先輩! 泉石先輩!」
「うううううんんんん」
「先輩! 起きて下さい!」
茉莉川杏奈は、
休憩室のテーブルでご飯を食べながら眠りこけている、
泉石渚の肩を思い切り揺さぶる。
けれど、
完全に夢の世界に入り込んでいるのか、
全然目を開けようとしない。
「……茉莉川さん?」
それでも、
揺さぶる事、
5分後。
ようやく、
渚が目を覚ました。
しかし、
当の本人は、
杏奈が居る事が不思議なのか、
彼女の名前を、
ぼっとする意識の中呼びかける。
「茉莉川さん? じゃあないですよ。
草津先輩が、
先輩の事捜してましたよ。
なんか、
時間が迫ってるとか言ってましたよ」
一方、
杏奈は、
草津に頼まれて自分の仕事を抜け出して渚を捜しに来ているので、
怒りがピークに足している。
「あぁ! 忘れてた! あいつに、
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