染谷くんの前では、ブスなので二度と笑いません。

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その質問は、私にしたのか染谷くんにしたのか分からない。でも、私は答えないといけなかった。 「染谷くんは悪くない。私がブスなのが悪いだけ」 「美弥?」  そのままカバンを持って教室から飛び出した。  怖かった。あのままクラス委員になってしまっていたら、染谷くんと接近してしまう。  それが怖かった。なので私は全力で逃げた。 「美弥っ」 けれど、声変わりし低くなった声が私の名前を呼んだ。 でも振り返らない。全力で校門を抜けると、家までの道を走る。 どこかに隠れようと辺りを見渡しても、高校までの道になにがあるのか分からない。 ただただ走って、家に逃げ帰ろうとしていた。 「……よお」 なのに、染谷くんが私の家の前の塀に手を置いて、前かがみで息を整えているのを見て心臓が飛び出るかと思った。 「残念だったな。お前の家は、クラス委員してたときにいつも送って帰ってたから知ってんだよ」  顔を見れない。染谷くんの靴を睨みつける。彼は、高校指定のスリッパのまま走って私に追いついてしまったらしい。なんて足の速さだ。
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