王女アデレード

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……。 ……。 ……。 …………だめだ、何も聞こえない。 俺は小さく(かぶり)を振って、再び体を横たえた。 『はぁ……』 そっと息をつきながら、おもむろに膝を抱え、抱えた膝に顔を埋める。 『……ここは、いったいどこ? どうして、俺はここに……?』 自分の心に、そして暗闇の向こうに問い掛けるけれど、答える声はない。 少しの間、俺は何度も答えの出ない問答を繰り返していたが……しかし、その内にそんなことなどどうでもよくなって、やがて考える事をやめた。 ここがいったいどことか、自分がここにいる理由とか……そんなことよりも、今はただ目を閉じて横になっていたい。 不思議と不安を感じない暗闇の中で、妙な居心地の良さに包まれながら、俺はもう一度ため息をつく。 まるで周囲の闇に溶け込むように、少しずつ希薄になっていく意識の中、最後に再び暗闇の向こうへと視線を向けてから、俺はゆっくりと目蓋を閉じた。        ☆ 「……ふあぁっ」 大きなあくびと共に目を覚ましたわたしは、そっと体を起こしつつ、おもむろに周りを見回した。 けれど、  「……あれ? リドリック……?」 滲んだ視界の中には、意識が途切れる直前まで言葉を交わしていた彼の姿は無かった。
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